2020年11月20日金曜日

晩秋繭

 


10月下旬、晩秋繭の出荷を、着物エディターの安達絵里子さんが見守ってくださり、その時のことを記事に書いてくださいました。






乾燥をしていない『生の繭』。

この量で着物一反分程の生糸になると言われています。

これから座繰り家さんのもとへと旅立つ、出来たばかりの繭を見つめる安達さんのあたたかな眼差しと言葉、本当に嬉しかったです。

安達さんのエッセイには、美しい着物を心から大切に楽しまれている様子が描かれています。


人の手によって生み出された様々な『もの』を見ていると、季節の移ろいを感じたり、暮らしに彩りを与えてくれたり、毎日をほんの少し楽しくさせたり、また時には、気持ちを奮い立たせてくれるようななにかだったりと、作り手の粋な遊び心や仕掛けが隠されているみたいだ。とか思うことがあります。

安達さんの着物選びや小物選びは、時代を超えて作り手さんとおしゃべりを楽しまれているかのような、作り手がそっと忍ばせた遊び心を、宝物のように見つけて受け取られているような、そんな日々の豊かなやりとりを読ませていただいているような気持ちになります。



街へ出かけると、お着物姿で歩かれている方をたまにお見かけすることがあります。
背筋をピンと伸ばし、目線はまっすぐに前を見て、口元は少しほほ笑んでいるような、
その佇まいは本当に美しいな。と見惚れてしまいます。

着物を、絹を、大切に心から楽しんでいらっしゃる人を見るたびに、

お蚕さんを育てるひとりとして、技術面も精神面も、さらにもう一歩先へと進んでいけるような、あたたかい風がそっと背中を押してくれているような、そんな気持ちになるのです。