2014年8月10日日曜日

ただそれだけ

美しい。
絹糸は本当に美しい。
いつ見てもうっとりする。
ずっと眺めてしまう。


繭80個を1本に束ねた太さの座繰り糸で織りました。

蘇芳(すおう)の木のチップで染めてみました。
煮出した時は、かき氷イチゴ味のような色でしたが、仕上がりはサーモンピンクの柔らかな感じに。
小物用に織った布だけど、このままショールでもいけそうな。
どんな色に染めても絹糸独特の光沢が美しい。
肌触りも、絹鳴りの音も、毎度毎度いちいち、うっとりする。


先人の知恵や努力、思いが詰まった養蚕の文化。
お蚕さんの神秘的で不思議な生態。素晴らしい養蚕の技術。
それらに心が動かされ 『やってみたい』 と思った。
最初から 『この文化を残したい』 とか、そんな大それた事、生意気な事を思っていたわけではない。
でも今は、この養蚕の文化、長い時間を経てここまでたどり着いた手作業での養蚕の技術を、
絶やすことなく繋いでいく為に少しでも役に立ちたいと思っている。
その為に出来ることはなんだろな?と、いつも考えて、結局今の私に出来ることは学ぶ事しかない。
と思って、日々学びと実践、時に失敗を繰り返している。
山鹿の先輩農家さん、日本各地にいらっしゃる先輩農家さん達みたいに、立派に育てれるようになりたいと思う。

育てた繭から糸を紡ぐ時はその神々しい光沢を見るたび感謝の気持ちがあふれてくる。
受け継がれた紡ぎや織りの技術はしなやかで美しいと思う。
時代時代を生き抜いて来られた方々の力強さも感じる事が出来る。
もっともっと上手くなりたいと思う。
そして、色んな方にうっとりするような作品を見てもらいたいな。と、思う。(いつの日か)


そんなこんなが、『養蚕農家』として『ものづくり』として、日々もそもそと学んでいる理由。

ただ~それだけ~(by石原裕次郎)

2014年8月6日水曜日

自然界のいきもの

青々とした桑畑で生活している昆虫は緑色。

ナウシカが降りたってきそうな金色の野に暮らす昆虫は黄金色。


























その中間地点で暮らす昆虫は、身体は緑で足元だけ黄金色。
どちらにも順応したい欲張りさん。



私も、この中間地点にいるのかな。と、思う。

























我が家に来て20年のカメ。
父が散歩に連れ出しても、一目散で家に戻ってくる。
夜は羽毛布団の中でしか眠らない。





















君はもう自然界には戻れまい。

2014年8月4日月曜日

外は雨

だいぶ前に精錬した絹糸。
糸が絡まったままどうしたものかと置いていたのですが、解いてみることに。
黙々と作業を続けること5時間。
無事に解くことができました。

大切な糸。
もっと精錬が上手くできるようになりたい。


現在私が使っている糸巻き器や木枠、その全てに作られた時の日付や持ち主のお名前が入っています。
年号は全て明治時代。
大事にしてもらっていたんだね。
私も大切に受け継いでいきたいと思っています。

昨日もこの絡まった糸を解こうと、何度も椅子に座っては絡まった糸に手を掛けていたのですが、
集中力が5分も持たず・・・。
何度やっても5分と持たず・・・諦めました。

そして本日再度挑戦。
絡まった糸に手を掛けた瞬間から一気にノンストップで5時間。
無事に終わりました。

昨日の自分と今日の自分。
一体何が違うのだろう。


























真綿づくりを教えていただいている、真綿づくり50年のお師匠様が、
作品をバザーに出品されるということなので、POPを作ってみました。

真綿。とても温かくて機能性に優れた素晴らしい素材なのですが、
中に詰められてしまうとなかなかその存在は気付かれにくくなってしまいます。
真綿は繭から出来ているんですよ~、こうやって手間暇かけて作られているんですよ~。
というのを、真綿を知らない方に少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
じんわり温かく、触れるたび繭の持つ素晴らしさを感じさせてくれます。
ほんとに気持ちが良いんです。真綿。

真綿づくりもまだまだだけど上手くなりたい。
一歩一歩。





今日はすごい大雨です。
台風の行方も気になりますが、
今日はジメ~っとした気分に浸りたいので、
雨音の鳴り響く部屋の電気を全部消して、『アダムスファミリー』を見ながら、
暗闇の中一人クスッと笑おうと思います。