2019年5月27日月曜日

4令の眠

4令からは、先輩農家さんと別々の飼育です。


3令の眠に入ったところで、ご自宅へ連れて帰られました。


私も稚蚕室から、広い蚕室へ移動。



そして昨日、4令の眠に入りました。



5月とは思えない昼の暑さと夜の寒さで、なかなか大変な4令期でした。

日中の気温は34℃にもなろうとするし、夜の気温は12℃にも下がろうとするし・・。

温度の虫といわれるお蚕さん。

気温の変化によって、給桑量や作業の進め方も変わってきます。

いつもはもっと余裕あるはずの4令期ですが、今回は草刈りもできず・・。


夜間はストーブを3台つけました。

それでも寒くて、お蚕さんの食べる量も速度も落ちるので、給桑量は少なめに。

気温が低い時に給桑量が多いと、さらに蚕座が冷え、その後、残った桑葉が堆肥化し蒸れて熱を持ってしまいます。


昼間は暑すぎて、扇風機回しながら、給桑量を多めに。


昼間のうちにたくさん食べておくれ・・。

しかし、暑すぎても動きが鈍くなる。

桑を食む音がさわさわ聞こえると、少しほっとします。


3令の眠から脱皮し4令になった時はあまりの寒さで、お蚕さんが動き出すまでに時間がかかり、なかなか桑付けが出来ませんでしたが、

4令の眠に入る時は、あまりの暑さで、いつもより早い速度で眠に入ってしまいました。

通常は、もう少し緩やかに眠に入っていくので、途中で網をかけて、遅口のお蚕さんを拾い上げるのですが、外気が34℃になろうかとした時、お蚕さんはダーッと一気に眠に入ってしまいました。
春蚕とは思えない・・。


揃うのは良い事だけど、早口遅口にうまく分けれないと、上蔟時、一気に上がりだすので、作業をする人間は少し大変です。


今回遅口で、まだ桑を食べているお蚕さんはこれだけ・・。

たぶん1割、3000頭位でしょうか。

これは、上蔟時気合を入れないといけません。


自然・気象は、昔も今も、人間にはどうすることもできないので、いかにお蚕さんに快適に過ごしてていただくかは、農家が知恵や工夫や労力を惜しまず積み重ねるしかありません。

お蚕さんを育てることの知恵や工夫をたくさん残してくださっている、先人・先輩方に感謝し、そして応えたい。


4令の眠は2日弱なので、明日の昼頃の桑付け予定です。



4令からは先輩農家さんと別々の飼育で、少し寂しくもあり、、。

とか言いつつ、毎日電話で話したり、どちらかが家に行ったりで、結局毎日話してる。

『今春のお蚕さんはぐずぐずして大変かねぇ。』

と、縁側でもぎたての胡瓜かじりながら、今日もお蚕さん談義に花が咲く。

そして、5令期お互い頑張ろうねと励まし合う、幸せな時間。


上蔟時、毎回お手伝いいただく宗さんも、お蚕さんの経過を見に来てくださいます。

上蔟は大変な作業だけど、毎年一緒にできるのがとても嬉しい。



育蚕中はなかなかゆっくり遊んであげれない。(♂猫ふうた)

お蚕さんの記録を書いてると、お気に入りのおもちゃくわえてやって来る(邪魔しに来る)。




ごはん食べるときも寝る時も、大好きなおもちゃは離さない。

今日はお蚕さんも眠なので、ゆっくり遊ぶとしよう。


2019年5月21日火曜日

稚蚕中のいろいろ




小梅が落ち始めたので慌てて収穫。


とりあえずジップロックで漬けて、


洗濯板で重し、、雑だけど、とりあえずは間に合った。


たわわに実った桑の実を収穫。


先日いただいた腰につける籠。収穫するのにとっても便利。


桑の実は、ジャムと酢と朝のジュースになる。


桑葉を乾燥させてお茶に。

桑は、お蚕さんだけではなく、人間にもとっても栄養になり、そして健康に良いのです。

お蚕さんが5令期になるころには、こんなことする余裕もなくなるので、

今のうちにたくさん作って、健康な体になるのです。







そして、飼育が始まってから、毎日色んな方からいただく差し入れ。

・・もう、本当にありがとうございます。

稚蚕飼育時は、まだ、ごはんをつくる余裕は存分にあるのですが、

ありがたく甘えさせてもらっています。

おかげさまで飼育が始まってから、まだ一度も晩御飯つくっていません・・・。



そして、ここ最近の嬉しいこと。

私は今年の4月から、町内の民生協力員(地域福祉活動)をしているのですが、

そこで訪問するようになった88歳のおじいちゃん。

昔、ご両親が養蚕をされていたそうで、色んなお話しを聞かせてくれます。

お蚕さんのことも、糸づくりや織りのことも、

とても詳しく記憶されています。

どの農家さんも、お蚕さんを育て、糸を紡ぎ、機織りをされていた6・70年以上前の貴重な生きたお話し。

この貴重なお話しをもっともっと今、聞いておきたい、

今、聞いておかなきゃ。と最近よく思うのです。

おじいちゃんは、お蚕さんを見に来てくれます。

そして、2~3日おきに電話をくれます。

『お蚕さんはもう2cmくらいなったでしょう。ちゃんと食べてますか?』と。

お蚕さん、元気にもりもり食べてますよ。と、答えたら、

『お蚕さんじゃなくて、花井さんがちゃんと食べてますか?お蚕さんの前に、あなたがしっかりと食べてくださいね。まずは、人間が元気じゃないとね。』

毎回5分程で終わるその電話に、いつも励まされてます。

おじいちゃんにお蚕さんを見てもらうのが、楽しみでもあります。

民生協力員になりましたが、私の方が心配りしていただいているのが可笑しくて、そして嬉しい。





草刈り。

敷地内を12ブロックに分けて刈っているのですが、

今日、第6ブロックの栗山の草刈りがようやく終わりました。

よし!あと半分だ。

毎日もりもり食べて、頑張ります!



2019年5月20日月曜日

3令の眠





5月10日に掃き立てを行いました。


今年の春は、先輩農家さんと一緒に稚蚕飼育。

昨春は先輩農家さんが入院されていて一人だったので、

今年の嬉しさはひとしお。

3令までご一緒できる稚蚕飼育は至福の時間です。


孵化して初めての呼び出し桑。

竹のバラ一枚の中央には孵化したての5000頭のお蚕さん(蟻蚕)。

5000頭のお蚕さんの卵(蚕種)は2.5gです。


最盛期、養蚕農家をされていらっしゃった先輩方に、

『どれくらい飼育されていたのですか?』

と聞いて、頭数で言われる方(頭数を知っている方)はほとんどいません。

地域により異なりますが、熊本では10g(2万頭)が一箱単位なので、

皆さん、蚕種(卵)のグラム数か、箱単位で答えられます。


今年の春は、先輩農家さんと私で30gの飼育。

昨春より少し少なめです。

1令

2令

3令


一桑ごとにどんどん大きくなっていくお蚕さん。

給桑して30分後には、成長がわかります。

給桑は、5時、11時、16時、22時の一日4回。

5令まで基本この時間帯に給桑しますが、稚蚕時は給桑量もまだまだ少なく、

桑取りに追われることもありません。



【良質な繭をつくるには土づくりから】

【蚕を上手に飼う要領は眠起をそろえること】

この2つは、養蚕の本や教科書によく書いてありますが、

ほんとにその通り、おっしゃる通りで・・・。

桑葉の出来によって、収繭量や質が全く異なる。←身をもって経験済

眠起の取り扱いがうまくいってないと、お蚕さんの生理的や人間の作業などで、のちのち大変になる。←これも経験済

稚蚕時の眠起の取り扱いには、ちょっと神経使います。

焦って作業を進めないように、お蚕さんの様子を見ながら。


お蚕さんが眠に入る前には責桑をします。

もうすぐ眠に入りそうだという時に、ひと桑パラパラと桑の香りを嗅がせると、

うまく眠に入ります。

動きが少し鈍くなりだした時がタイミングで、7割ほどのお蚕さんの動きが止まっていたら、責桑はしません。

そして2割ほど就眠したら、温度・湿度をともに少し下げ、

9割が就眠したところで、石灰を振り、乾燥を促しながらお蚕さんと蚕沙を隔離します。



3回目の脱皮に向けて、眠に入りだしたお蚕さん。

まあまあ揃っているようで、少し安心。

一連の作業、ベテラン農家さんは経験と勘に基づく感覚で行いますが、

私にはまだ経験が必要。

でも、お蚕さんの様子を見ながら、ここだ!という、タイミングを図る作業は、

とても好きな時間だ。


就眠中のお蚕さん。

今はこんなにコンパクトに収まっていますが、

明日は広い蚕室にお引越しです。

2019年5月9日木曜日

嬉しさと緊張。のようなもの




蚕種。お蚕さんの卵です。

明日、510日に掃き立て(孵化)予定です。

今年もいよいよ始まるのか。という、

嬉しさと緊張で、お腹のあたりがフルフルと震えています。

始まってしまえば、目の前のことに必死で緊張も忘れるのですが、

とりあえず今は、準備を万端に整えることで気持ちを落ち着かせています。




育蚕を重ねるごとに、緊張や怖さは増してきているように感じます。
(もちろん喜びも。)

育蚕期には毎回、新しい課題や反省、学びがあり、

それをひとつひとつクリアしていくたびに、もっと良い繭にしたいという思いと、

お蚕さんを大切に育てるということへの責任感が、強くなってきているのだと思います。


農家として繭を出荷させていただけるようになって7年。

お蚕さんを育てる、農家の【感覚的】な部分も少しは分かってきましたが、

ベテラン農家さんのそれにはまだまだ及びません。

なので、私はこれからも経験と勉強を積むしかないのですが、

今は、学ぶこと、知識の引き出しが増えていくことがとても楽しいです。


そして今回、育蚕以外での課題は、育蚕と同時進行で行う他の農作業をいかに効率よく行うかということ。(次期育蚕用の桑の仕立てや栗山のことや草刈りなどなど、、、、)
毎回遅れをとり後々が大変になるので、今回は効率よく行うイメージトレーニングをたくさんしました。
イメージ通りに進むかどうかは分かりませんが、とりあえずイメトレを生かしたい・・。



お蚕さんが病気になることなく無事に育つよう、

楽しみに待っていてくださる方々へ喜んでいただける繭をお届けできるよう、

良質な繭を製糸工場へ出荷できるよう、努めます。

そして、お蚕さんを育てさせていただくこの貴重な時間を、私なりに全力で楽しみたいと思います。