2016年7月27日水曜日

上蔟とこれから

お蚕さんの上蔟が終わりました。
7/24(日)に500頭ほど。

7/25(月)に4000頭ほど。

7/26(火)に400頭ほど。

体験学習にてお蚕さんを持ち帰られた皆さんのご自宅でも、

7月25日に糸を吐き始めたお蚕さんが多かったのではないでしょうか?
頭を8の字に揺らしながら吐き続けている細い糸が絹糸となります。

回転蔟です。

回転1台にボールと呼ばれる格子状の蔟を10枚セットして吊るします。

お蚕さんは糸を吐き始める時、場所を決めるまで、上に上にあがろうとします。

上の方にお蚕さんが集まったとき、ぐるんと回転台が回転して、上下が逆さになり、

またお蚕さんが上にあがっていきます。

それを繰り返すうちに、自分が繭をつくる場所を決め、中に入っていきます。

翌日になっても場所を決めていないお蚕さんは、別の蔟に移します(農家では)。

夜中様子を見に行ったとき、回転蔟が1台落ちており、這い出したお蚕さんを無心で拾い集めました・・・。

回転の勢いがすごかったのでしょう・・。

夏蚕は、暑さの為、上がるのが通常より早いので、少し小振りですが、立派な繭です。


通常出荷の飼育は春と秋に行っており、私自身、夏に飼育したのは初めてでした。

気温によるお蚕さんの成長や食欲がここまで変化することを知り、とても勉強になりました。

が、猛暑続きでお蚕さんが無事繭を作るのかと、本当に不安な日々でした・・。


上蔟後ですが、

お蚕さんは糸を2日~3日、吐き続けます。

耳をあてると、チカチカと糸を吐く音が聞こえてくると思います。

徐々に音がしなくなり、繭の中で5回目となる最後の脱皮をし、蛹(さなぎ)化が始まります。

農家では、糸を吐き始めてから9日目頃に収繭(繭を蔟から外す)をし、出荷の準備をします。

今回は出荷を行わないので、私は10日目に冷凍保存をし、その後、糸を引きます。

糸の吐き始めが7月25日の場合、8月3日に冷凍保存をします。


今回、蚕の羽化までを観察される方が多くいらっしゃると思います。

蚕の羽化は、糸を吐き始めてから2週間ほどと言われています。

糸の吐き始めが7月25日の場合、8月7日 頃が予定ですが、

これも気温により多少前後すると思います。


先日もお話ししましたが、お蚕さんの吐く糸はとても細く柔らかいですが、

糸に含まれるセリシンという成分が接着の役目をし、固い繭となります。

糸を紡ぐ際、藁灰汁などアルカリのお湯で繭を茹で、このセリシンを溶かし柔らかい真綿にして糸を紡ぎます。

繭からカイコガが羽化し出てくる際、繭を破って出てくるのではなく、口からアルカリの液を吐き、

セリシンを溶かし繭糸を緩め、糸は切らずに出てきます。

農家では羽化する前に出荷をするので、私も何度もは見たことがありません。

(気付かないうちに天井に上って繭をつくったお蚕さんが、羽化して落ちてくることはよくありますが・・・)

羽化までされる方は、是非じっくりと観察されてみてください。


※羽化まで観察をされる方へ注意事項です。

●繭から出てきたカイコガは、オシッコをします。

糸を吐く前に1度、そして繭から出た後の2度目のオシッコで、

蛾尿というらしいのですが、羽化する際は新聞紙などをひかれてください。

私は最初知らず、驚きました。


●カイコガは飛翔能力や口吻が無いので、飛ぶことも食べることもできません。

パタパタと羽を動かしながら、雌と雄が揃った時は交尾をし、その後産卵をします。

揃ったとき小さいほうが雄のカイコガです。

産卵を終え、羽化後1週間から10日程で、一生を終えます。


●一生を終えたカイコガと、産卵した卵は、責任をもって土に還してください。

卵をそのままにしておくと、翌春に孵化する場合があります。

一頭で500粒ほど産卵します。

以前、自由研究で育てた蚕の卵が翌春に孵化し、農家で引き取ってほしいとの連絡をいただいたことがありますが、

農家では、2代目3代目の卵を飼育することはできません。

また、それだけの桑をお分けすることもできません。

なので、責任を持って、よろしくお願い致します。



8月20日に参加していただく方は、今回育てられた繭をお持ちいただければ、

ご希望がありましたら、当日藁灰汁を焚いて置きますので、真綿にしてお持ち帰りくださいませ。

真綿の活用法などは、当日実演、またはご説明をいたしますので、是非大切にご使用されてくださいませ。


今回は、初めてお蚕さんが繭にになる姿を見られた方もいらっしゃったと思います。

数日とはいえ、生き物ですので、大変だったのではないでしょうか?

本当にお疲れさまでした。

そして、ありがとうございました。

今回仕上がった繭を大事にしていただけることを願っています。

分からないこととかありましたら、またいつでもご連絡くださいませ。

今回、体験に参加してくださった方が、素敵な手作りの蔟、名付けて『お蚕マンション○○○←お名前』 の写真と、

飼育の様子を送ってくださいました。

快適そうだなあ。

とても嬉しかったです!

ありがとうございました!