2019年5月20日月曜日

3令の眠





5月10日に掃き立てを行いました。


今年の春は、先輩農家さんと一緒に稚蚕飼育。

昨春は先輩農家さんが入院されていて一人だったので、

今年の嬉しさはひとしお。

3令までご一緒できる稚蚕飼育は至福の時間です。


孵化して初めての呼び出し桑。

竹のバラ一枚の中央には孵化したての5000頭のお蚕さん(蟻蚕)。

5000頭のお蚕さんの卵(蚕種)は2.5gです。


最盛期、養蚕農家をされていらっしゃった先輩方に、

『どれくらい飼育されていたのですか?』

と聞いて、頭数で言われる方(頭数を知っている方)はほとんどいません。

地域により異なりますが、熊本では10g(2万頭)が一箱単位なので、

皆さん、蚕種(卵)のグラム数か、箱単位で答えられます。


今年の春は、先輩農家さんと私で30gの飼育。

昨春より少し少なめです。

1令

2令

3令


一桑ごとにどんどん大きくなっていくお蚕さん。

給桑して30分後には、成長がわかります。

給桑は、5時、11時、16時、22時の一日4回。

5令まで基本この時間帯に給桑しますが、稚蚕時は給桑量もまだまだ少なく、

桑取りに追われることもありません。



【良質な繭をつくるには土づくりから】

【蚕を上手に飼う要領は眠起をそろえること】

この2つは、養蚕の本や教科書によく書いてありますが、

ほんとにその通り、おっしゃる通りで・・・。

桑葉の出来によって、収繭量や質が全く異なる。←身をもって経験済

眠起の取り扱いがうまくいってないと、お蚕さんの生理的や人間の作業などで、のちのち大変になる。←これも経験済

稚蚕時の眠起の取り扱いには、ちょっと神経使います。

焦って作業を進めないように、お蚕さんの様子を見ながら。


お蚕さんが眠に入る前には責桑をします。

もうすぐ眠に入りそうだという時に、ひと桑パラパラと桑の香りを嗅がせると、

うまく眠に入ります。

動きが少し鈍くなりだした時がタイミングで、7割ほどのお蚕さんの動きが止まっていたら、責桑はしません。

そして2割ほど就眠したら、温度・湿度をともに少し下げ、

9割が就眠したところで、石灰を振り、乾燥を促しながらお蚕さんと蚕沙を隔離します。



3回目の脱皮に向けて、眠に入りだしたお蚕さん。

まあまあ揃っているようで、少し安心。

一連の作業、ベテラン農家さんは経験と勘に基づく感覚で行いますが、

私にはまだ経験が必要。

でも、お蚕さんの様子を見ながら、ここだ!という、タイミングを図る作業は、

とても好きな時間だ。


就眠中のお蚕さん。

今はこんなにコンパクトに収まっていますが、

明日は広い蚕室にお引越しです。